燃料電池フォークリフトと
水素充填備が開く物流の未来

株式会社鈴木商館 様

導入効果:物流品質向上
導入システム・製品:フォークリフト
業種:電気・機械

導入効果
  • 水素社会実現に向けた取り組みを推進
  • 高い環境性、作業効率向上、外部給電などが可能に
和田 智宏氏

株式会社鈴木商館
営業本部 豊田事業所
副事業所長

和田 智宏氏

古口 容士氏

株式会社鈴木商館
営業本部 副本部長
(技術・保安担当)
取締役

古口 容士氏

水素社会実現に向けた動きが加速している。2017年1月20日、第193回国会における施政方針演説で安倍総理は、水素エネルギーをエネルギー安全保障と温暖化対策の切り札と位置づけ、日本で水素社会が幕を開けると明言。生産から輸送、消費までの水素サプライチェーンを構築するために、様々な規制を洗い出し改革を進めると述べた。
燃料電池自動車は水素を燃料とし、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気をつくり、CO₂を排出しない。種々の用途や車種の開発が進められており、中でも産業用車両である燃料電池フォークリフト(FCFL)の早期実用化と
技術開発は国のエネルギー政策において重要視され、ロードマップに沿った開発が推進されてきた。
関西国際空港や山口県周南市地方卸売市場などで実証実験が行われている。

稼動中のトヨタL&F製の燃料電池フォークリフト(FCFL)。鈴木商館 豊田事業所の外観と、建物の上に設置された太陽光発電パネル。

太陽光発電で水素を生成し充填

高圧ガスの専門商社である鈴木商館(東京都板橋区)は、水素ガスの製造・販売およびインフラに関する技術とノウハウを生かし、産業用車両向けの水素充填設備事業を開始。2014年には米国エアープロダクツ社と関連事業の提携契約を締結した。
一般的に産業用車両のFCFLは、35MPa(メガパスカル)の圧力で水素を充填し、空港、市場、工場、倉庫など様々な場所で使用される。その構内には水素充填設備を備える必要がある。鈴木商館は豊田事業所(愛知県豊田市)にそのモデルとなる水素充填設備の構築を進め、FCFLを導入した。
鈴木商館 営業本部 副本部長(技術・保安担当) 取締役の古口容士氏は次のように語る。「FCFLの普及は車両、水素、水素充填設備の三位一体で進める必要があります。トヨタL&Fさんと力を合わせて運用施設の実例を作り、PRも行いたいと考えました」。
鈴木商館 豊田事業所の屋上に太陽光パネル324枚を敷き詰め、50kWを発電。水素発生装置、水素圧縮装置など設備に必要な電力すべてを再生可能エネルギーで賄い、水素の生成から使用までCO₂排出量ゼロを実現する。
設備の構築が本格化したのは2015年の夏から。トヨタL&Fと様々な情報交換を行う中で、環境省の地域再エネ水素ステーション導入事業と愛知県水素ステーション整備費補助金の存在を知り、ほとんどの構築費用を補助金で賄うことができた。また、FCFLの車両本体も環境省と愛知県の補助金を利用することで、エンジンフォークリフトと同等の価格で導入できた。
鈴木商館 営業本部 豊田事業所 副事業所長 和田智宏氏は設備の設計について振り返る。「トヨタL&Fさんから助言をもらいながら設計を進めました。万が一、水素充填設備が故障すると構内での使用ができなくなるので信頼性には気を配りました。また操作性や安全性、スペース効率、コストについても配慮し、米国エアープロダクツ社が量産するディスペンサーなどの周辺機器を日本の国内法規に合うよう設計変更することに力を注ぎました」。
水素充填設備は2016年10月に着工。17年2月にはFCFLを導入した。

FCFLに水素を充填するディスペンサー部のモックアップ。
第13回水素・燃料電池展(FC EXPO 2017)鈴木商館ブースにおける水素充填インフラおよびFCFLの展示。

優れた性能のモデルケースを創る

鈴木商館は豊田事業所でFCFLを主に出荷や荷下ろしに使っているが、従来使用していた電動フォークリフトと操作感の違いはなく、販売店であるトヨタL&F中部と保守契約を結んでいるため、安心して使用できるという。
最大の特長は稼動時にCO₂を一切排出しないエコ・フォークリフトであることだ。また、電動の場合はバッテリーの充電に6〜8時間かかり、連続稼動するにはスペアバッテリーが必要になるが、FCFLは3分で水素充填が完了し、バッテリー交換の必要がないため作業効率が向上。稼動時間はバッテリーと同等なため、特に台数が多く高稼動の使用現場に有利だ。スペアバッテリーや充電のためのスペースが不要になり省スペースが実現する。さらに外部給電機能を備えているため、災害時の電力供給に活用することも可能だ。
豊田事業所の水素充填設備が完成するのは2017年5月で、6月からの本格稼働を予定している。それまでは水素ボンベからFCFLに水素を充填する簡易充填設備を使用する。FCFLの水素圧力は35MPaだが、ボンベの圧力は19.6MPaでフル充填はできず稼動時間は短くなるものの、より低コストで充填することができるという。
「豊田事業所に来ていただければ、FCFLも水素充填設備も運用現場もすべて見ることができます。今後は実物を活用することで、様々な業種のお客様に合わせてカスタマイズするとともに、実証によって安全性とコストを両立させた保安基準をつくり上げていきます」と古口氏は語る。
鈴木商館は産業車両用水素充填設備メーカーとしての強みを生かし、トヨタL&Fと協力しFCFLの普及と、水素社会の実現に貢献していく。

燃料電池フォークリフトの特長