LSDが冬場の生産性を向上、会社一丸の4S・カイゼン活動も大きな成果

空知単板工業株式会社様(北海道)

業種

導入システム・製品

導入効果

路面凍結によるスリップ防止で冬場の作業効率アップ
路面損傷による粉塵飛散解消により作業環境が快適化
カイゼン意識徹底で工程内の中間在庫が減少し品質も生産性も向上

雪上では特にスリップしやすい空荷時も乾燥路面同様に登りきる。

以前はこんなわずかなスロープでさえも、路面が凍結するとスリップしていた。スピード超過の目安にするタイヤの白マークは、トヨタの工場視察がヒントに。

スパイクタイヤによる路面痕。擦過で生じた粉塵が品質や衛生面での問題になった。

LSD装備車導入後は路面損傷や粉塵被害も解消。

4Sセミナーを活かし、現場の整理整頓を徹底。毎月の改善提案は約300件にのぼる。

「企業は皆のもの」との考えから積極的に現場を公開。「工場こそショールーム」の実践は、各界から注目を集める。

冬場の凍結によるスリップ対策に悩む

単板は英語で「ベニヤ」。貼り合わせれば合板になる薄板ですが、空知単板様の生産品は大半が厚さ0.3mm以下の極薄単板。特に住宅用床材では日本一のシェアを誇ります。良質な木材資源に恵まれ、製材加工のノウハウが連綿と培われてきた空知地方ならではの産業といえるでしょう。しかし、数メートルもの積雪を記録する冬場の対策は難題でした。凍結路面での資材搬送時にはスリップ対策に頭を悩ませたと、嶋谷次長様は次のように語ります。「大鋸屑(おがくず)を播(ま)いたり、皆で押したりする度(たび)に作業には支障を来(きた)します。タイヤチェーンはすぐに切れ、自作したスパイクタイヤを装着すれば路面が凸凹になって、粉塵の影響も甚大でした」

LSDを意識させない良好な操作性

そこでトヨタＬ＆Ｆが提案したのがジェネオへのLSD※装備です。嶋谷次長様は「デモ試用の結果が良かったので正式導入しました。LSD装備はまだ4台ですが、操作性に違いは感じないし、トヨタ車は他と比較して乗りやすいという声が多いですね。緊急時にすぐに対応してくれるのも嬉しい」と高評価です。
※LSD［リミテッド・スリップ・デフ］：片輪が駆動力を失った場合でも、もう一方の車輪に駆動力を配分して、凍結路上など過酷な路面状況でも安定した作業をサポートする機構。

「4Ｓ」「ＴＰＳ」の学びを具体化

何事も意見を出し合い創り上げていくという社風の原点は、十数年前に始めた「クリーン運動」にあると松尾会長様。「当初は職場環境の美化が目的でしたが、次第に安全や品質の向上、生産性の改善に向けた取組みへと発展した」と振り返ります。その後、「4S」と「TPS」セミナーの受講を契機に改善活動への取組みが活発化。「ジャストインタイムにヒントを得て、工程中の仕掛かり品を大幅に減らすことができた」と田村係長様は胸を張ります。工程に滞留すれば反ったり割れたりするリスクが増えて歩留まりに影響しますが、中間在庫を抑制する意識が徹底したことで、少量多品種需要にも柔軟に対応できる生産体制が確立しました。「単板は生鮮品と同じで鮮度が命。だからこそ世界に先駆けて－15℃の材料保管倉庫も持ちました」と松尾社長様。品質への徹底的なこだわりもあって、成長軌道にはさらに加速がつきそうです。