旧トンネルを「ワインカーブ」に再生させた一大プロジェクト
導入効果
- 勾配を活かしたラックの設置方法
- 幅狭く奥行き長い場所での入出庫方法
古いトンネルをワイン貯蔵庫に
甲州市内を走る中央線に「深沢トンネル」があります。1903年に建造されたノスタルジックな趣きのあるレンガ積みトンネルでしたが、1997年新トンネル完成を機に長い役目を終えました。旧勝沼町はこれを近代産業遺産と考え、地域のぶどう栽培、ワインづくりの歴史や文化と併せて再生できないものかと知恵を絞り、2005年「トンネルワインカーヴ(ワイン貯蔵庫)」として見事に甦らせました。現在、地元ワイナリーをはじめ全国のレストランや個人愛好家らが利用。現在も募集を行っております。これらの事業を積極的に推進してこられたのが「甲州市勝沼ぶどうの丘」様です。
勾配1000分の25を活かす
「技術的な提案はコンペで決めることにした」と三科様。コンペには4社が参加し、最終的にトヨタL&Fに決まりました。評価されたのはトンネルの長さ1100メートルに対し1000分の25という緩やかな勾配を活かしたラックの設置方法やレイアウト、幅が狭く奥行きの長い貯蔵庫での入出庫方法などでした。中軽量ラックは個人客用で取扱量も少量なのですべて手作業。ラック内でワインが転がらないよう、床面を水平に保つために左右の柱の長さを変え、さらにアジャスターがつけられています。他社の提案は床を水平にする舗装工事を伴うものでしたが、トヨタL&Fはワインメーカー向けの重量ラックを勾配のまま設置。なぜならパレテーナ単位で保管するため水平であることよりも、ラックと同じ勾配で入出庫することによりフォークの抜き差しを簡単にする点を優先したからです。また、トンネル内を安全に走行・搬送するためにハンドル操作を不要とするワイヤーガイダンス(電磁誘導)を装着したラックストッカーを導入。しかし、難問もありました。
関係者全員の気持ちがひとつに
当初、レールの上からコンクリートを流し込むつもりでしたが、レールには強い磁気が残っていてラックストッカーに誤作動を及ぼす可能性がありました。関係者が集まり協議した結果、レールを撤去することに。ほかにも湿度が予想以上に上がることや湧水など問題もありましたが、一つひとつを確実にクリア。「トヨタL&Fさんをはじめ関係者すべてが同じ気持ちでゴールに向かってくれた。とてもいい仕事ができたと喜んでいます」と三科様。夏には正面のトンネルが遊歩道として駅につながる予定。三科様は多くの観光客が見学に訪れることを期待しています。
甲州市勝沼ぶどうの丘 支配人 三科 茂様
お客様のプロフィール
甲州市勝沼ぶどうの丘様
甲州ワインのすべてがわかる「甲州市勝沼ぶどうの丘」様の各種施設。
- 住所 : 〒409-1311 山梨県甲州市勝沼町深沢3602-1
- 電話 : (0553)44-2111
- ホームページ : http://budounooka.com/